■2007/02/26 筋泡
2/24にメイルが届いておりました(^_^)

“昨日「初添」で今日「踊り」でした。
9号吟醸時代のセオリー「筋泡状態の
踊り」です。”

解説しよう。日本酒は一般的に、タンク
にお米と水を仕込むときに3回に分けて仕
込む。一気に加えてもろみを急に薄めて
しまうと、酵母たちの住環境を壊してしま
うので、複数回に分けるという仕組みな
のだ。それぞれを「添え、仲、留め」と
呼び、添えと仲の間に一日お休みをおく。それを踊りとよぶのだ。「踊りに筋泡」、これは上手に発酵が始まってくれている証拠、ほっと一安心する瞬間でもあるのだ(^_^)

我らのラブリー麹菌「ダイヤモンド印」が山田錦を溶かし、愛しの酵母「熊本酵母KA-4」が頑張ってアルコールを造り始めたのです。そのフツフツを沸き立つ熱き血潮のごとき炭酸ガスは、山田錦の岩盤を切り裂き筋状に広がる。あぁ、すばらしき筋泡よ(笑)


■2007/02/16
「酒母順調です」蔵元から写真が届きました。

酒母とはお酒の赤ちゃん。母と書きながら赤ちゃんとは(^_^; 麹、酵母、お米、お酒の全てがこの小さなタンク(両手で抱えられるほどのドラム缶をイメージしてください)に入っていることになります。これから蒸米と水を段階的に加え量を増やしていきます。麹の力でお米が糖になり、酵母の力で糖がアルコールになります。

ワインの原料、ブドウなどはもともと糖を含んでいるのでアルコールになりやすいのですが、日本酒の原料のお米には糖がありません。糖をつくりながらアルコールを作るというなんとも複雑なプロセスが、この小さなタンクで始まっているわけです。すごいですね〜。この赤ちゃん!

酒造好適米のなかでもっとも扱いやすく、できあがりの味わいも良いと言われる山田錦。高価ですが熟成にも耐えうる酒を造るならこの米。雑味と旨みのバランスを目指し精米歩合は48%。統計によれば精米歩合と金賞入賞確率の関係は精米歩合50%以下であれば変わらない、つまり俗に言う35%まではいらないというわけ。

麹の銘柄までオープンにしている酒はめずらしい。山田錦上で育てられた吟醸麹菌「山田錦訓養ダイヤモンド印」をセレクト。

酵母は協会9号系、熊本4号(KA-4)。
協会9号ではなく原型に近いと言われている
熊本酵母セレクトは蔵元のこだわり。
低温での発酵力が強く吟醸造りに適して
おり、かつご存じの通り香りもよい。

最近流行の吟醸酵母(アルプスや秋田流花
酵母などの各県酵母)に比べれば香りは穏や
かで品がある。昭和末期から平成初期にか
けての出品酒は主に9号系が用いられた。

あえて、山田錦+9号系酵母というトラディショ
ナル、コンサバティブなスペックとし、そこに
現代的な造り、若き杜氏の情熱を注ぐ。

コンセプトは昔造りの正常進化。正統派、硬派路線。
「ストレートが速くないエースはいない」蔵元の言葉を思い出します(^_^)